♪Diary


■2005/09/27(火)
貴教からの手紙

最終回の貴教からの手紙の書き起こしです。この言い回しや表現、貴教らしいよね。「ざまあみろ!」って言葉聞くと、番組は終わってしまうのにスッキリしたし、達成感に浸れた。赤のままの信号なんてないもの。また青信号になる日、待ってます。

■2005/09/26 「西川貴教のオールナイトニッポン」手紙(LF) 書き起こし

ラジオの前の君へ

車で道を走っている時、自分の進む道の信号がこの先どこまでもずっと青だったら良いなと思う事があります。でも道は自分だけのものではありません。道を横切る歩行者もいれば、曲がろうとする車もいます。色んな人の為に信号が赤になった時は、他の人に道を譲らなければなりません。それと同じように今まで8年9ヶ月間、運良くずっと進む道の信号が青だった「西川貴教のオールナイトニッポン」という車の前に、もうすぐ赤信号が灯ろうとしています。

8年9ヶ月。毎週2時間で年50回。4時間やった事もあったし特番もやったから、およそ900時間。5万4千分。324万秒。だけど、これを日にちに換算するとたったの37日。実は僕がオールナイトニッポンをやっていた時間というのは、学生時代の夏休み位にしか過ぎません。でもこの時間は、子供の頃の夏休みなんかよりずっと意義があって、ずっと自分が生きている意義を実感出来た324万秒でした。

今から10年と少し前バンドを解散した僕は、この先も大好きな音楽を続ける為にあてもなく曲を作り、人生の暗闇の中で未来という光を探して苦しみもがいていました。何もかもに行き詰まり、先へ進めない焦り、自分が理解されない事への苛立ち。当時の僕は一人ぼっちでした。

そんな時全てに疲れ、誰とも会わずに過ごす一人の部屋で、ふとスイッチを入れたくなるのはTVではなく、田舎にいる頃から好きだったラジオで、今ラジオの前にいる君と同じように、ラジオから流れるオールナイトを聞いていました。オールナイトは孤独を感じていた僕に、今この時同じ時間を過ごしている仲間が全国にいるという安らぎと楽しさをくれました。いつか自分もオールナイトをやって、人と時間や楽しさを共有したい。オールナイトをやる事は、後にミュージシャンとして大成した時の夢の一つになりました。

そして、デビューから半年が経った1997年1月6日。僕は運良くオールナイトをやらせて貰う事になりました。あれから8年9ヶ月。その間に出来た思い出は短い時間では語り尽くせませんし、今までいつも未来に向かってただ全力で歩んできた僕達にとって、振り返ったりするべきものではないのかも知れません。ただ番組が終わるにあたり、この8年9ヶ月の意味を考えた時、きっと僕は8年9ヶ月間ずっと仲間を探し続けてたんだと思います。

人は誰しも欲張りで我が儘だから、沢山の人から愛されたい、そして理解されたいと思い続けています。僕も然りで、音楽だけじゃなく人間的にも愛されたい、自分を理解して欲しい、そう願い続けています。だから僕は自分が楽しいと思う事を一緒に楽しいと思ってくれて、毎週時間を共有してくれる仲間、そんな仲間を探す旅をこれまで続けてきました。

そうして仲間は少しずつ増えていき、8年9ヶ月経った今ではこんなにも沢山の仲間が出来ました。番組の担当を外れても何かあるとしょっちゅう顔を出してくれた沢山のスタッフ、そして全国各地で今僕の声に耳を傾けてくれている君、君、そして君!そう、実はラジオの前の君は一人だけど、一人じゃないんです。

今この時、この瞬間、日本全国には僕を始め、ラジオの前の君と一緒に生きて同じ時間を過ごし、楽しさを分かち合っている沢山の仲間がいる事を忘れないで下さい。

この8年9ヶ月の間、僕は音楽での活動、そしてプライベートでの辛い事、悲しい事、苦しく腹立たしい事、裏切られた事、沢山ありました。でも、どんな時でも週に一度のオールナイトだけは僕にとって自分を必要とし、分かり合える君達、沢山の仲間が迎えてくれる、いつも一番安心出来る場所でした。

オールナイトのリスナーとスタッフは、僕を受け止めてくれて、僕を待っていてくれる僕の心の支えでした。そして、そんな僕の番組を心の支えだと言ってくれる人がいました。支えて支えられて、本当に良い仲間と巡り逢う事が出来たと思います。僕にとってこんな仲間が出来たのは一生の誇りです。ありがとう。何万回言っても言い足りないけど、ありがとう。

そんなオールナイトが終わってしまうのは本当に残念です。でも今、こんなにも残念に思う事が出来るのも、オールナイトをやれたからこそ。そう考えると、残念な以上に本当にオールナイトをやれて良かったです。オールナイトをやって、本当に出逢えて、本当に良かったです。

そう思うからこそ、「オールナイト、AMラジオがイメージに合わない」とか、「メディアでは自分が伝わらない」とか言っているアーティストや、「ラジオは古臭い、魅力を感じない」とか言って、聞いた事もないヤツに僕はこう言ってやりたいです。

「ざまあみろ!」

そういう人達には僕が今感じているこの幸せや喜びを、一生感じる事が出来ないんだと思うと、本当に「ざまあみろ」です。

さぁ、8年9ヶ月間走り続けてきた「西川貴教のオールナイトニッポン」という車の進む道の信号が、もうすぐ赤になります。赤になったら止まります。でももし、もしまた信号が青になったら、走り出します。また必ず信号が青になる日が来るのを信じて、僕はずっと待ってます。

最後にリスナー、そしてスタッフも含め、オールナイトニッポン、本当にありがとう。オールナイトニッポンという伝統のある番組に、8年9ヶ月という大きな足跡を残せた事は、僕にとって一生の思い出です。そして8年9ヶ月間、僕が君の心に何かが残せたなら嬉しいです。8年9ヶ月間、本当に、本当にありがとうございました。


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